無題

東京文化会館でワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』の公演を見てきた。

率直な感想として、初めて体験することも多くてかなり面白い(Interesting)と感じた。まず、単純に音が分厚くてキレイで、その芸術性に圧倒された。自宅のイヤホンやスピーカーで聴くのと生演奏を聴くのは、さすがに迫力が全く違った。同じ生演奏で比較しても、アンプを用いるロックバンド演奏とも全く違った。

それに、音以外の文化の面で見ても、おもろい部分は多かった。例えば、途中30分の休憩が入るのはロックのライブにばかり行っている身としてはかなり新鮮で、休憩時間をどうやって使おうかというワクワク感があった。また、オーディエンスの雰囲気もかなり違っていて、その様子を観察しているだけでも結構面白く感じられた。

その一方で、謎な部分も多かった。まず、単純にあんまり分からなかった。『トリスタンとイゾルデ』について一切予習していなかった自分も悪いのだけど。おぼろげな自分の理解だと、トリスタンもイゾルデもかなりヤバイやつだったんだけど、よくわからん。

あと、客層のハイソさや、客に求められる振る舞いの厳格さには正直少なからず居心地の悪さを感じた。例えば、演奏中に客側が一切音を出せないような、極端に人工的な静けさは自分にはまあまあしんどかった。

うんざりするような、ちょっとしたコンフリクトも起こっていた。第三部の際、自分の前の座席に座る人が(おそらくBluetoothイヤホンから)モスキート音を発していた。周囲の人たちもそれに気付いていて、何度も目線を送ったりと、ずっと辟易しているのを隠していなかった。しかし、本人はずっと気づいていない様子で音は止まなかった。結局、その音の主の前に座る人なんかは、ハンカチで耳をずっと抑えながら演奏を聴いていて、なんかその光景はちょっとグロくておえって感じだった。まあ演奏中に指摘することもできないから仕方ないんだけど。

とりあえず、次ワーグナーを見るなら、『ニーベルングの指環』か、個人的にお気に入りの『ニュールンベルグのマイスタージンガー』を見たい。可能ならば、U25割が使えるうちに見に行きたい。価格が全く別物になる。